2024年2月6日に行われたトヨタ自動車株式会社の「2024年3月期第3四半期決算」の内容をまとめました。
結論、3Q累計売上高は24%増と連続で過去最高を更新し、通期経常利益計画を11.7%上方修正しました。
本記事では、トヨタ自動車株式会社の企業概要や業績、今後の業績に影響がある要素などをざっくりとまとめています。
※免責事項※
この要約は、会社の決算報告書を元に作成されていますが、その正確性や完全性について保証するものではありません。投資や意思決定を行う際は、独自の調査と専門家の助言を受けることをお勧めします。
ざっくりとわかる!企業サマリー
トヨタ自動車株式会社は、日本を代表する自動車メーカーであり、世界的にも知名度の高い企業です。
2024年3月1日にはトヨタ自動車の時価総額が日本企業で初めて60兆円を超え話題になりました。
トヨタは自動車の製造・販売だけでなく、ハイブリッド車や電気自動車(EV)などの先進技術の開発にも注力しています。
7203 トヨタ自動車 とよたじどうしゃ [輸送用機器]
【決算】3月
【設立】1937.8
【上場】1949.5
【代表者】佐藤 恒治
【資本金】6,354億円 ※2023年3月末時点
【特色】4輪世界首位。国内シェア3割超。傘下に日野、ダイハツ。SUBARU、マツダ、スズキと提携
【連結事業】自動車91(6)、金融8(16)、他2(8)【海外】82 <23・3>
トヨタ自動車の経営理念は「豊かな社会の実現と持続可能な未来への貢献」であり、環境への配慮や社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
また、品質と信頼性においても高い評価を受けており、世界中で多くの人々に愛用されています。
資料サマリー
トヨタ自動車株式会社の2024年3月期第3四半期決算報告書には以下のような内容が書かれています。
- 2024年3月期第3四半期の業績概要
- 中国事業および金融セグメントの業績
- 2024年3月期の見通し
それぞれについて見ていきましょう。
2024年3月期第3四半期の業績概要
- 営業利益:4.24兆円(前年同期比+2.4兆円)
- 通期見通し営業利益:4.90兆円
営業利益が前年同期比で大幅に増加し、4.24兆円を達成しました。
この増益の要因は、為替の影響や営業面での努力によるものです。
具体的には、ハイブリット車を中心とした販売台数の増加や高収益車種の好調な販売による構成の改善、北米・欧州を中心とした価格改定などが寄与しています。
中国事業および金融セグメントの業績
続いて、中国事業ならびに金融セグメント(9ヶ月累計)です。
‘23.4-12 | ‘22.4-12 | |
トヨタ・レクサス販売台数(千台) | 1,528 | 1,490 |
連結子会社の営業利益(億円) | 1,387(△193) | 1,580 |
持分法適用会社の持分法による投資損益(億円) | 2,209(△20) | 2,230 |
金融セグメント(億円) | 4,706(△149) | 4,455 |
中国事業は、同社の強みであるハイブリッド車の堅調な需要に支えられ、トヨタ・レクサスの販売台数を維持しています。
連結子会社の営業利益、持分法適用会社の持分法による投資損益は、為替変動の影響や販売費の増加により、減益となりました。
一方、金融セグメントは、融資利鞘の縮小などにより、減益となりました。
※利鞘…売買によって得られる差額の利益金。
財務状況の分析
トヨタ自動車株式会社の財務状況をまとめました。
項目 | 前連結会計年度
(2023年3月31日) |
当第3四半期連結会計期間
(2023年12月31日) |
資産合計 | 74,303,180百万円 | 84,232,154百万円 |
負債合計 | 45,038,967百万円 | 50,708,188百万円 |
資本合計 | 29,264,213百万円 | 33,523,966百万円 |
項目 | 前第3四半期連結会計期間
(2022年12月31日に終了した3ヶ月間) |
当第3四半期連結会計期間
(2023年12月31日に終了した3ヶ月間) |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,825,923百万円 | 2,786,141百万円 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | -1,513,593百万円 | -4,230,129百万円 |
現金及び現金同等物四半期末残高 | 6,022,089百万円 | 7,583,154百万円 |
トヨタ自動車の財務状況は一般的には良好と言えるでしょう。
財務指標や財務諸表から見ると、資産合計が増加し、負債合計も増加していますが、資本合計も増加しているため、負債に対する資本比率が改善していることが示唆されます。
今後の見通し
前提として、2024年3月期の見通しにはダイハツ工業、豊田自動織機の出荷停止を受け、現時点で把握できる影響を織り込んでいます。
連結販売台数は前回見通しに対して15万台の減少となる945万台を見込んでいます。
通期の業績見通しは以下のように各項目で上方修正しています。(為替レート:ドル143円、ユーロ154円を前提とする)
- 営業収益 43兆5,000億円
- 営業利益 4兆9,000億円
- 税引前利益 6兆2,000億円
- 当期利益 4兆5,000億円
今後の業績に注意が必要な要素
今後のトヨタ自動車の業績に影響を与える可能性のある要素はいくつかありますが、特に注意が必要な要素を3つ挙げました。
1. 原材料価格の変動
原材料価格の上昇や変動は企業のコスト構造に直接影響を与えるため、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
原材料調達に関するリスク管理を重視し、変動に柔軟に対応する必要があります。
2. 技術革新と競争力
デジタル情報技術の進化や競合他社との競争力は自動車産業において重要な要素です。
常に最新の技術を取り入れ、競争力を維持するために積極的な取り組みが求められます。
3. 環境変化への対応
気候変動や低炭素経済への移行など、環境変化への対応が企業にとってますます重要となっています。
持続可能な経営を目指し、環境への配慮を強化することが業績向上につながる重要な要素といえるでしょう。
これらの要素に特に注意を払いながら、トヨタ自動車は将来の業績向上と持続可能な成長を目指して戦略を展開していくことが重要と言えます。
結論
2024年3月1日にトヨタ自動車の時価総額が日本企業で初めて60兆円を超えました。
豊田自動織機やダイハツ工業といったグループ企業の不正対応などに追われるものの、成長戦略の強化や収益構造の改善に取り組み、、市場の変化やリスク要因にも十分な注意を払いながら、持続可能な成長を目指している印象を受けました。
これからも日本を代表する企業としてウォッチしたいです。
参考文献・引用元
第3四半期決算情報(2024年2月6日)|トヨタ自動車株式会社
みんかぶ